実はM&Aで一緒になった会社は、公共工事で大きな学校を作るとか、道の駅を作る仕事をされている会社なので、相当なスキルがないと出来ないんですよね。しかも、40人の優秀な大工さんがいらっしゃって、大きな神社や社務所なんかを作るような宮大工のような方もいらっしゃって、そんな方達がそっくり私たちの会社に来ることになりまして。
ただ、その当時私たちの会社よりも、スキルや技術に長けた企業は周りにたくさんあったんです。普通は私たちの会社ではなく、そっちに行ってもおかしくないはずなんです。
ただ、声をかけてくれた経営者の方は女性の方だったんですが、その方が言うに「従業員や社員を大切にしてくれる会社だと思った。」から、私たちの会社に声をかけてくれたみたいなんですよね。
今までパートナーシャフト経営をしている中で、人間尊重をいう考え方を大切にしてきたんですが、正直それは弱みだと思ってたんですよ。人を大事にするのはいいけど、傷を舐め合ったり、自分の弱さに甘えてる人がいたり、結果数字も作れなかったんじゃないかと思ってたんですね。
ただ、事業譲渡してくれた2つの会社の経営者から、異口同音にで「茨城木材さんなら、自分の社員を大切にしてくれるだろうと思った」と言われ、今まで弱みだと思っていたことが、強みになったんです。
文化は戦略に勝るって言葉が、2020年8月28日、日経新聞のコラムにあり、どんな立派で緻密な経営計画とか戦略を立てても、最近の感染症のこととか、自然災害が起きた時、そうしたものは陳腐なものになってしまう。
でも、もし企業の中に良き文化(カルチャー)が根付いていればどんな問題や、どんなトラブルに巻き込まれても柔軟に対応し、乗り越えていく力があるのではないかというようなことが書いてあった。まさにそうだと思いました。
実はその頃、売り上げが3割ほど落ちてて、もう今年は赤字になるみたいな状態でした。ですが、それから半月後にその事業譲受の話が持ち上がってというような形で、その年も黒字転換できるようになり、最終的にスキルとか技術とかよりも、人間性や人柄を尊重する文化を作れていたのが、勝敗を分けたんだろうなと思います。